古事記・下巻
飯豊王の即位
第21代・雄略天皇が亡くなると、第22代・清寧天皇が即位しました。
ところが、天皇には后も御子もいなかったため、亡くなった後に皇位を継ぐ者がいませんでした。
そこで、イチノヘノオシハの実妹・イイトヨが即位しました。
名前 | |
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1 | 男性 雄略天皇(ゆうりゃくてんのう) |
2 | 男性 清寧天皇(せいねいてんのう) |
3 | 男性 市辺忍歯別王(いちのへのおしはわけのみこ) |
4 | 女性 飯豊王(いいとよのみこ) |
皇位継承者が見つかる
その頃、地方長官として針間国に派遣されたオダテは、有力者シジムの家に招かれました。
宴もたけなわになり、みんなが次々に舞い踊りだすと、竈の傍にいた火焚の童にも舞うように言いました。
2人の童はお互いに順番を譲り合った後、ついに兄・オケが舞い、次に弟・ヲケが舞おうとしたときに、私こそがイチノヘノオシハの子であると、詩歌に節をつけて歌いました。
これを聞いたオダテは驚いて台座から転げ落ちてしまいました。そして皆を外に追い出すと、2人の御子を左右の膝に座らせて、泣き悲しみました。
仮宮を作って2人に住んでいただくと、早馬の使いを走らせて叔母・イイトヨに2人が生きていることを知らせました。
そして、喜んだイイトヨはすぐに2人を宮殿に呼び寄せました。
名前 | |
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1 | 男性 志自牟(しじむ) |
2 | 男性 意祁命(おけのみこと) |
3 | 男性 袁祁命(をけのみこと) |
袁祁命と志毘臣の歌詠み対決
その後、歌垣が開かれました。
時の実力者、平群臣のシビという男が、ヲケが妃にしようとしていた娘・オフオの手を取り、求婚の歌を詠みました。
ヲケも負けじと歌を詠み返すと歌詠み合戦になり、いつの間にか夜が明けてきたので各々家へ帰りました。
朝になり、オケとヲケは相談し、軍勢を整えてシビの家を囲み、たちまち殺してしまいました。
名前 | |
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1 | 男性 志毘臣(しびのおみ) |
2 | 女性 大魚(おふお) |
ヲケの即位
オケとヲケの間で、どちらが皇位に就くかを巡って譲り合いが始まりました。
弟が名を明かさなかったら今の境遇は無かったと言って兄が譲ると、ヲケ(第23代・顕宗天皇)は断り切れずに即位しました。
名前 | |
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1 | 男性 顕宗天皇(けんぞうてんのう) |
ヲケの復讐と恩返し
ヲケが父・イチノヘノオシハの遺骨を探していると、 淡海国の老女がその在処を覚えていたため、遺骨を探し出すことができました。
お墓を作って埋葬した後、父殺害のきっかけとなった韓帒の子孫に墓守を命じました。
その後、ヲケが都へ帰ると老女を召して、遺骨がある場所を誠実に覚えていたことを褒め、名前を授けました。
そして、ヲケは宮殿の傍に老女が住む家を建て、毎日召しました。また、老女が故郷へ帰りたがった時には歌を詠んで見送りました。
以前オケとヲケが大和へ逃げた時、山中で食料を奪った老人を探し出し、飛鳥川で処刑すると、さらにその一族を根絶やしにしました。
さらに、父を殺したオオハツセ(後の雄略天皇)のお墓を壊そうとしましたが、兄がヲケの代わりにお墓へ行き、少し掘っただけに留めました。
ヲケは、兄に墓を破壊しなかった理由を尋ねました。
「たとえ仇でも私たちの叔父で、天皇でもあった人の墓を壊せば、非難を受けるでしょう」と答えると、ヲケは納得しました。
名前 | |
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1 | 男性 韓帒(からぶくろ) |