古事記

5分で読める「古事記」中巻(6)・垂仁天皇

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古事記・中巻

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サホビコの謀反

第11代・垂仁すいにん天皇にはサホビメという后がいました。

ある日、兄のサホビコに「夫と兄とどちらが愛しいか」と尋ねられ、サホビメは「兄」と答えました。

すると、サホビコは小刀を渡し、天皇が寝入った隙に刺し殺すよう告げました。

サホビメは、自分の膝枕で昼寝をしている天皇を刺し殺そうとしましたが、どうしてもできませんでした。

3度目に小刀をかざしたとき、溢れ出る涙が天皇の顔に落ちました。驚いて起きた天皇が訳を尋ねると、サホビメは正直に兄の企みを打ち明けたのでした。

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サホビメの出産

謀反を知った垂仁天皇は、サホビコの城に攻め入ります。

しかし、城には密かに駆け込んだサホビメがいたので困り果ててしまいました。

攻めあぐねて数か月後。サホビメが城中で天皇の御子を出産し、天皇に「天皇の御子として育てて欲しい」と伝えました。

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サホビメの奪還失敗

天皇は兵士を派遣し、母子ともに連れて帰るように命じました。

しかし、サホビメは髪を剃ってカツラをかぶり、腐らせた衣を身にまとって御子を抱いていたので、連れ帰ることができませんでした。

諦めきれなかった天皇は、子の名前、育て方、後任の后について尋ねたりしましたが、サホビメの気持ちは変わりませんでした。

覚悟を決めた天皇は城を攻撃し、サホビコは戦士。サホビメは炎の中で自害しました。

兄比売えひめ弟比売おとひめとは、丹波比古多多須美知能宇斯王たんばひこたたすみちのうしのみこの娘達のことです。そのうち、皇后になったヒバスヒメが生んだ御子が第12代・景行けいこう天皇となっています。
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しゃべれない御子

サホビメが生んだホムチワケは、大人になっても話すことができず、振舞いもまるで子供のようでした。

ある日、空を飛ぶ大白鳥を見たホムチワケは、何か言いたそうに口を動かしました。

その様子を見た垂仁天皇は白鳥の捕獲を命じますが、北陸道まで追いかけて捕らえたものの、ホムチワケは白鳥を見ても何も言いませんでした。

ある晩、天皇の夢に何者かが現れ、「私の宮を大きく造り直したら、御子は話せるようになる」と言いました。

占いで、夢に現れたのが出雲の神・オオクニヌシだとわかったので、天皇はすぐにホムチワケを出雲へ向かわせました。

ホムチワケが参拝を終えると祟りが鎮まり、話せるようになりました。

参拝の帰りにヒナガヒメと結婚しましたが、正体が蛇だったので、怖れて大和へ逃げ帰りました。

御子が話せるようになって大喜びした天皇は、出雲大社を改築させました。

また、鳥を捕獲して飼育する職業集団、鳥取部ととりべ鳥甘部とりかいべを定めたと言います。

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垂仁天皇の再婚

サホビメの死からしばらくして、垂仁天皇はミチノウシの4姉妹と結婚することになりました。

しかし天皇は、姿かたちが醜いという理由で、ウタコリ、マトノヒメの妹2人を親元へ送り返してしまいました。

故郷に帰る道中、マトノヒメは「周囲の村人の噂になるのは、恥ずかしくて耐えられない」と言って、山代国やましろのくに相楽さがらで首をくくったものの死にきれず、弟国おとくにに着いた時、深い溝に身を沈めて死んでしまいました。

名前
1 女性 比婆須比売命(ひばすひめのみこと)
2 女性 弟比売命(おとひめのみこと)
3 女性 歌凝比売命(うたこりひめのみこと)
4 女性 真砥野比売命(まとのひめのみこと)
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垂仁天皇と不老不死の実

垂仁天皇は晩年、常世とこよの国にある不老不死になるという木の実・登岐士玖能迦玖能木実ときじくのかくのこのみをタジマモリに探させました。

タジマモリが木の実を手に入れて持ち帰ると、すでに天皇は亡くなっていました。

タジマモリは、木の実の半分を大后・ヒバスヒメに献上し、残りの半分を天皇の御陵に供えると、泣き叫びながら息を引き取ったと言われています。