大原幽学とは
大原幽学は、江戸時代後期の農政学者、農民指導者。
長部村(現:千葉県旭市長部)を中心に、房総の各地をはじめ、信州上田などで農民の教化と農村改革運動を指導し、大きな事績を残した人物です。
道徳と経済の調和を基本とした性学を説き、農民や医師、商家の経営を実践指導しました。
前半生は各地を放浪していたらしいのですが、天保2年(1831年)に房総を訪れて性学を講義し、各地に門人を増やしていきました。
天保6年(1835年)に香取郡長部村に招かれて農村振興に努力することになり、天保13年(1842)には長部村に定住しています。
天保9年(1838年)に先祖株組合という農業協同組合を世界で初めて創設し、農民が協力しあって自活できるように各種の実践仕法を行って成果をあげました。
しかし、急激な性学運動の発展と農民が村を越えて労働と学習を共にしたことが幕府の怪しむところとなり、幽学は幕府の取り調べを受けた末、有罪となり、失意のうちに安政5年(1858)3月8日、自殺により62歳の生涯を閉じました。
大原幽学遺跡史跡公園とは
昭和61年(1986年)、財団法人八石性理学会によって管理されていた大原幽学の遺跡と大量の資料が千葉県香取郡干潟町(現旭市)に寄贈され、平成元年(1989年)に史跡公園として開園しました。
国指定史跡となっている幽学の住居や民家、耕地地割などがあり、公園内では四季折々の花々(水仙、椿、桜、紫陽花、紅葉など)を楽しむことができます。
大原幽学遺跡史跡公園は、房総の魅力500選にも選ばれています。
耕地地割
幽学が門人の協力を経て耕地整理を行った字八石の水田で、ほぼ当時の区割りが残っています。
斜面にあった、形が異なる大小さまざまな水田をひと区画一反程度に揃え、さらに水路を整備することで、農作業の効率を向上させました。
名主遠藤家宅地跡
幽学をこの地に招いた長部村の名主・遠藤家の居住跡で、幽学の跡を継いだ二代目教主・遠藤良左衛門の家でもあります。
ここから前方に、耕地整理をした水田が見えます。
旧宅
旧宅入口表門。
旧宅は、幽学自らが設計した建物です。
もともとは教導所として、名主・遠藤伊兵衛によって自宅裏山に提供されました。
住居の前には、「慎其獨」と彫られた石碑が建っています。
この言葉は幽学自筆の掛け軸となっていて、門人の生活の規範とするために残された字句のひとつです。
教導所は、天保13年(1842年)に住居として改築されています。
八畳二間の他、便所、押入れなどが備えてあり、質素で丈夫な造りとなっています。
もともとは茅葺屋根でしたが、大正末に銅板に改修されました。
大原聖殿
幽学没後、昭和12年(1937年)に建立されたもので、幽学生前の教導所である改心楼跡地にあります。
当初、「大原神社」として神社申請がされたのですが、許可がおりなかったため、この名前になりました。
本殿裏の階段を上ると、奥殿があります。
石祠に刻まれた倉稲魂命(左)、誉田別命(右)は読み取れたのですが、中央の神様だけが分かりませんでした。
大○○○命と書かれているので、大日孁貴命(天照大神)だと推測されます(龍ヶ谷で天照大神・春日大神・八幡大神が祀られているため)。
改心楼跡地
改心楼とは、嘉永3年(1850年)に、門人の増加に伴い建設された専用の教導所です。
幽学の設計で竣工された間口7間×5間の建物でしたが、晩年の裁判で判決により取り壊しを命じられ、建物は現存していません。
旧林家住宅
幽学の弟子の中で特に優れた、林伊兵衛の住居です。
伊兵衛は、匝瑳郡十日市場村(現旭市)の名主役を勤めていました。
幽学の指導を受けて建てたと伝えられ、天保15年(1844年)の銘が部材に残っています。
大原幽学記念館
幽学の貴重な遺品や著作類を展示しています。
その他にも東総地域を中心とした歴史・民族の資料も展示されています。
幽学乃滝
記念館横にある大きな池には滝が流れていて、マイナスイオンで癒されます。
参考 あわせて立ち寄りたいおすすめスポットアクセス
大原幽学遺跡史跡公園(おおはらゆうがくいせきしせきこうえん)
- 住所:千葉県旭市長部341
- 入園料:無料
- 駐車場:無料(9:00~17:00、時間外は閉鎖)
駐車場入口には大きな看板が建っていて、敷地内はかなり広いです。
公園へは、道路向かいの細い道を徒歩で進んで下さい。
大原幽学記念館(おおはらゆうがくきねんかん)
- 住所:千葉県旭市長部345-2(大原幽学遺跡史跡公園内)
- 電話:0479-68-4933
- 開館:9:00~16:30
- 休館日:月曜・祝日の翌日・年末年始(12月28日~1月4日)※臨時休館有
- 入館料:大人300円 / 小中高生200円 / 団体大人250円(15名以上) / 小中高生団体150円(15名以上)※公園散策は無料
- 公式サイト:http://www.city.asahi.chiba.jp/yugaku/